ふと、今の自分の状況が結構特殊であることに気づいたのでちょっと記事にしてみようと思いました。
自分は25歳の時、心療内科で多動性障害の疑いが強いと診断を受けました。
受けたときには強い対人不安と社会不安の症状も抱えていたので、投薬による治療をうけることにしました。
一応社会復帰というか、自分の力で自立して生きていく方向で生きていくつもりだったので(というか生きるのをやめることが出来なかった)、自分の短所を補うという意味で投薬することを決定しました。
自分が多動性障害である、ということに具体的に気づいたのは大学を卒業し就職してからでした。
最初は営業職としてOJTで研修しながら勤務していたのですが、どうも人と相対するということに関して、非常に強い抵抗がありました。
対人恐怖、と言ってもいいぐらいの抵抗でした。
しかも新規開拓というベテラン営業でも難しい立場に立たされ、見込み顧客でもないような人たちに無理やりアポを入れ顔を出す、という毎日に大変疲弊してしまいました。
どんどん自分の心が辛くなり、社内でも人間関係でつまづき…という中、結局2年半で退職。
この退職までの間に、
「自分だけが人として能力が劣っているのではないか」
「自分はなぜこれほど他人に恐怖を感じるのだろうか」
と不安になり、心療内科の診察を受けてみたのでした。
初めての診察とカウンセリングで、過去の辛い体験や幼少期の思い出などを話すうちに、多動性障害の疑いが強いという指摘を受けました。
【チェック診断】ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは? 子どもの症状・特徴と原因、治療・薬について解説
多動性障害は、良くも悪くも不注意で衝動的でじっとしていられないという特性があります。
また、一つのことに集中すると他のことは一切目に入らなくなるのも特徴です。
また、診察時にアスペルガー症候群としての特徴もある可能性があることも指摘されました。
大人のアスペルガー症候群とは?対人関係やコミュニケーションはどうする?職場での困りごととは?家族や同僚の関わり方などを解説します | LITALICO仕事ナビ
言われてみれば、小さい頃から思い当たるフシが。
幼稚園の折り紙の時間に、自分だけ手順がわからなくなり大泣きして周りを困らせたり、いわゆる「空気を読めない」小中学生だったので友達は少なかったり、昔から人の話を理解するのが苦手だったりと、指摘されていろいろとつながる事柄がありました。
自分のこの特性というか、短所というか、精神障害と言われるものが薬を飲むことによってどれだけ変わるのか知りたくて、まずは投薬を1ヶ月試してみることにしたのです。
処方されたのは
コンサーター:注意欠陥と多動性障害の治療薬
の3種類です。
飲み始めると、今までの自分との変化を如実に感じました。
まず、頭が非常に冴えている。
投薬前は脳の中にモヤがかかったような状態に感じられるほど、頭のキレが違います。
仕事など否応なしに集中が必要となる場合や状況に陥っても十分対応出来るようになりました。
そして、人の話を集中して聞けるようになったのが、非常に大きな違いでした。
今までは本気で聞いても半分ぐらいしか頭に入ってこなかったのに、投薬後は聞き流すぐらいのレベルでもしっかり内容が入ってくるようになりました。
これで大分コミュニケーションに支障をきたすことが無くなりました。
投薬と同時に
「仕事を続けるに当たって、自分の特性にあった職種を選びたい」
と思うようになり、様々な職種にチャレンジし、今は経理職という仕事に落ち着きました。
経理こそデスクにじっと座ってコツコツ仕事をする職種なので向いてなさそうなのですが、そこは特性。
好きなものに関してはいくらでも仕事が出来るので、この職種に出会って本当に良かったと感じています。
しかしそんな中でも、やはり苦手なものや出来ないことはあります。
今でも出来ないのはマルチタスク。
いっぺんにいろんな案件の話を同時に進行していくのは非常に辛いです。
たまに運悪くそういう日に出会ってしまった日はついついイライラしてしまいます。
なるべく他の人には気を使いますが、それでも多分表情と言動には出てきてしまっていると思います。
あと飲み会や就業時間以外での職場の人達とのコミュニケーションもそんなに得意ではありません。
しょうがなく参加する飲み会など、話題が特に見つからない場合が多く、ついつい聞き役だけになってしまう時があるので、そういう時には直前にコンサーターを服用して脳を活性化させています。
自分は投薬を始めてから、薬なしの生活と元のポテンシャルには戻りたくないと感じるようになりました。
徐々に社会不安や対人不安も和らぎ、今は投薬さえすれば普通の生活を送ることが出来ます。
今、ちょっとでもADHDやアスペルガー症候群の疑いがあると思っている方、またはご家族やご親戚、ご友人でもしかして…と思っている方がいれば、別に病気や精神障害のレッテルを貼るつもりではなく自分の特性を知るという意味で一度診療を受けてみることをオススメします。
管理人のように本人も気づいていなかった心や頭のモヤモヤが取れ、本人自身も周りの人々も幸せに生活が出来るかもしれません。
コンサーターは持続性がないため、続けるなら一生続ける必要がありますが、それでも自分の生活を豊かに、幸せに送るなら高い買い物ではありません。
自分の幸福を薬という形で手に入れられるなら、十分生活必需品だと思っています。
診断書を作成してもらい、役所に申請すれば「自立医療支援制度」を使って高額な薬代を通常3割負担のところ本人1割負担に減らすことも出来ます。
悩んでいる方、またそのような方を支えている方、ぜひ自分の特性を知る機会を見つけてほしいと思います。